「俺のエッチがそんなに良かったんかなぁ」



大雅は、ニヤニヤした顔を私の顔に近づけながら……


甘い声を出す。



てか、


エッチしたんや。



なんかめっちゃショック。


悔しいけど、なんか悲しい。



「え、杏奈。ショック受けてんの?俺が部長とエッチしたら嫌なん?」



ああああーーー

また心の中読まれてる!!



「ほんじゃあ…… 杏奈も俺に抱かれてみる?」



顔を胸元に近づけて、両手を私の腰に回した。




「あほぉーーーーーーー!!!」



大雅の頬をひっぱたこうかと思ったのに、大雅はスルリと逃げた。




妖精みたいに、部屋から消えた。




私は、部活に戻ることもできずに、部室で制服に着替えて家に帰った。




心配した3人から心配してたくさんメールが来たけど、何があったのかは言えんかった。



言えるわけない。


いきなり美術室で、キスされて、胸もまれて……『合格』もらったなんて。





めちゃめちゃ追いつめられた状況やのに、なぜか嬉しさもある私。


完全にアイツの思うツボやん。


明日から部活どうなるんやろう。



それを考えたら不安やのに、鏡に映る私は幸せに満ち溢れた顔をしてた。