出会いは最悪やった。




高校に入学して少し過ぎた頃。


5月の連休明けの月曜日の朝。


家を出てすぐに雨が降り出した。



追いかけてきたお母さんが手に持っていたのは、お母さん愛用の超ド派手な傘やった。




「え?お母さん、この傘って……」


「ええからええから!貸したるからそれ使い!」



お母さんが差していた透明のビニール傘の方がマシやと思ったけど、嬉しそうに傘を差し出すお母さんを見て、私は断ることもできんくて、ド派手傘を受け取った。




「ありがとう!こんなかっこええ傘、自慢やわ」



私は勇気を出して、その傘をひらく。


まぁええか。


遅刻ギリギリやからどうせ誰にも会わへんやろ。




その瞬間やった。



「なんやねん!!その傘。お前オバハンか!」



背後から大きな低い声が聞こえた。