「もうすっかり秋だねぇ」

「あっああ」

「食べ物の美味しい季節よね。わたし、焼き芋とか焼き栗とか大好きなの! 毎年ついつい食べ過ぎちゃうのよ」

「へっへぇ~」

わたしは今、彼氏と一緒に公園を散歩している。

小高い山の上に作られた公園には、秋の植物がたくさんある。

金木犀の花が咲き、紅葉も真っ赤だ。

しかしそれにも増して、彼氏の顔色が真っ赤。

理由は分かっている。

わたしと、手をつないで歩いているからだ。

でも彼氏は少し引き気味で、わたしに引っ張られているカタチになっている。