TWILIGHT SLIDER

「すまん、遅くなった」

亮一は申し訳なさそうに右手を顔の前に出して謝ってきた。

「別にリョウ待ってた訳じゃねーから」

「ひどいな」

拓哉のからかっているような口調に、亮一は苦笑いをした。

「それよりも、新入部員がくるんだって?」

そう聞いた夕夜に、
「何だよ、ユウも俺を待ってたんじゃないのかよ」

亮一は大げさにため息をついた。

「だって、気になるじゃん」

「わかった、すぐに呼んでくるから」

亮一は顔だけドアの外に出すと、ドアを大きく開いた。

開いたドアから、例の新入部員が現れた。

(えっ…?)

新入部員に、夕夜は自分の目を疑った。

もしこの世に偶然があるとするならば…これも、偶然の例に当てはまるのだろうか?

目の前にいるのは、昨日桜の下で出会った美しい少女だった。

その少女が自分の目の前にいることに、夕夜は戸惑った。