ここは、夕夜が所属する天文学のサークル部屋である。

「疲れてるみたいだけど、また三宅のことかい?」

拓哉は漫画雑誌を机のうえに置くと聞いてきた。

「うん、まあね」

「大変だね、ユウも」

「他人事みたいに言うなよ」

「他人事じゃん」

夕夜は苦笑しながら、椅子に腰を下ろした。

「あれ、リョウは?」

いつもは1番早くきているはずの間宮亮一(マミヤリョウイチ)がいないことに、夕夜は気づいた。

「ああ、リョウなら新入部員の迎えに行ってる」

「新入部員って、入ってくるのか!?」

そう聞いてきた夕夜に、
「くるよ、リョウの高校時代の後輩だって」

拓哉は答えた。

「へえ、どう言うヤツだろうな」

「リョウと同じ、天文学大好き人間じゃねーの?」

「あー、ありえる」

そう言って笑いあっていたら、部室のドアが開いた。