TWILIGHT SLIDER

頬が沁みるように痛い。

その痛みの中で振り返ったのは、今日までの時間だった。

鬼のような形相で母親を殴り、優しさのかけらが微塵もなかった父親。

そんな父親に耐えていた母親。

殴られるたびに泣きそうな顔で華に謝っていた母親。

父親と別れ、自分のために必死で働いていた母親。

そんな母親に迷惑をかけたくない一心で、自分は我慢をしていた。

欲しいものも、いじめられていたことも、全て母親に隠し続けていた。

そこまで思い出して、華の目から涙がこぼれ落ちた。

思い出のないロクな人生を過ごしていた自分に、華は笑いそうになった。

「――何やってるんだ!」

遠くから誰かの声が聞こえた。

「ヤベッ、逃げろ!」

斎藤が離れて、押さえ込まれていた足が解放された。