「ごめん、疑っちゃって」

恥ずかしそうに笑って、綾乃が謝ってきた。

「俺も悪かったよ」

安っぽいドラマのセリフを吐く自分に、夕夜は苦笑したくなった。

「ごめんね、夕夜」

そう言った綾乃に、
「ああ、ごめんな」

夕夜は無理やり笑顔を作って返事をした。


綾乃の嫉妬深さも、あそこまでくると尋常なものじゃない。

もはや、病んでいると言っても過言ではない。

――夕夜は私だけのもの

その言葉を、綾乃の口から何回聞かされたことだろう?

3年つきあっているとは言え、彼女の嫉妬深さには心の底から呆れて何も言えない。

「ういーす」

夕夜は目の前のドアを開けると、中に入った。

「おう、ユウか」

それに対して、漫画雑誌を読んでいた大塚拓哉(オオツカタクヤ)が顔をあげた。