夕夜の頬を一筋の涙が伝っていたからだ。

「――そんなことを簡単に言うなよ…」

涙のせいで、うまく声を出すことができない。

「死にたいなんて、言うなよ…」

流れる涙は止まることを知らなかった。

震える唇を、華は開いた。

「――けど、私1人だもん…」

「えっ…?」

夕夜は躰を離して、華を見つめた。

華は夕夜を見つめて、泣きながら震えていた。

「――私、1人なんだもん…。

助けてくれる人も、守ってくれる人も、いないんだもん…!」

華は泣きながら叫んだ。

「生きてたって、私は1人にされるんだから!」

「大村さん!」

夕夜の声にハッと我に返ったと言うように、華が黙った。

「――それ以上、自分を追いつめないで…」

そう言った夕夜から目をそらすように、華はうつむいた。