TWILIGHT SLIDER

目の前にいるのは、自分が知っている八神じゃない。

優しくて、自分を助けてくれたあの彼じゃない。

目の前にいるのは、鬼のような顔で、自分に痛みを与えている八神の姿だった。

殴られたところがだんだんと熱を持ち始める。

感覚がなくなった瞬間、華はもうすぐで自分は死ぬんだと思った。

今まで過ごした思い出が頭の中で回り始める。

――ああ、本当に自分は死んでしまうようだ…。

八神の姿が滲んで見えた瞬間、華は目を閉じた。

涙が一筋と頬を伝った。


「遅くなったな」

すでに暮れた空を見ながら、夕夜は帰りを急いでいた。

亮一と話で盛りあがっていたら、すっかり日が暮れてしまった。

「仕方ない、近道だ」

夕夜は目の前の小さな広場に入った。