TWILIGHT SLIDER

「職場にきた手紙が何なのかと思ったら、そんな手紙だった」

感情のこもっていない低い声で、八神が言った。

「待ってよ!

私、こんなの知らない!」

華は首を横に振って手紙の内容を否定した。

八神以外の男とつきあっていないのに、この手紙は何なのだろうか?

「知らない?

…とぼけるつもりか!?」

また頬に衝撃が走った。

髪をつかまれて、フローリングに顔をたたきつけられる。

「――待って、本当に知らな…」

腹に激痛が襲ってきたので、華は小さな躰を丸めて両手で頭を抱えた。

それしか、自分の身を守ることしかできない。

目だけを動かして、華は八神を見あげた。

(――この人は、誰なの…?)

ぼんやりしかけた頭で、華はそんなことを思った。