TWILIGHT SLIDER

その頃。

「八神さん、お手紙です」

「ありがとう」

八神隆一(ヤガミリュウイチ)は女子社員から手紙を受け取った。

白い封筒だった。

宛先を見ると、『八神 隆一様』と印刷された文字で書いてあった。

裏の宛名を見ると、名前がなかった。

八神は首を傾げると、ペーパーナイフで封筒を破った。

中には飾り気のない白い紙が半分に折りたたまれて入っていた。

八神は開くと、中を読んだ。

読んだ瞬間、八神はグシャッとそれを握りつぶした。


坂道を越えると、灰色の壁のマンションが見えてきた。

そこが自分が住んでいる家だ。

華は坂道を歩いていた。

西の空に目をやると、オレンジ色の太陽が沈みかけていた。

そう言えば、彼と出会った日もこの空だった。