TWILIGHT SLIDER

(もうあの頃の私じゃないんだから!)

綾乃はそう言い聞かせて、フラッシュバックしそうになった記憶をかき消した。

今の自分は愛されているから、あの頃とはもう違うのだ。

「――許せない…」

綾乃は小さく呟いた。

“大村と言う名前の、夕夜が気にかけている人物を許せない。

自分以外を気にかけている女性が、夕夜に奪われる。

(――許せない…)

綾乃の心は、どす黒い嫉妬でいっぱいになっていた。

「――私から夕夜を取りあげる人は…」

例え誰であろうと許さない。

(夕夜の1番は私なんだから!)

綾乃はそう自分に言い聞かせて、椅子から立ちあがった。

「――夕夜は私のものなんだから…」

自分自身にも言い聞かせるように、綾乃は呟いた。