TWILIGHT SLIDER

いつの間にか、街灯が公園を照らしていた。

花見客が増えて、右を見ても左を見ても人だらけになっていた。

どこからか流れてくる演歌と手拍子が鼓膜を刺激する。

「大村さーん!」

声をあげて、夕夜は華の探した。

大勢いる花見客の中に華の姿はおろか、彼女の声も聞こえない。

夕夜は何度も人とぶつかりそうになりながら華を探した。

「――どこに行ったんだよ…」

ついたのは、公園の裏の場所――いわゆる、外れだ――だった。

薄明かりの街灯が、一定の距離に植えられた桜を照らしている。

夕夜はため息をつくと、辺りを見回した。

視線が止まる。

そこに、華がいたからだ。

あの日と同じように桜を見つめている華がいた。

薄明かりに照らされた横顔がとてもキレイだった。

知らずに触れてしまったら、あっけなく消えてしまいそうだ。