「夕夜と一緒に暮らすんだもん」

そう言った華に、
「そうだね、合い鍵を作っておくよ」

夕夜は言い返した。

「ありがとう、夕夜」

華が手を差し出したので、夕夜はその手を繋いだ。

マンションを出たとたん、サイレンの音が騒がしくなった。

「結構近くだね」

そう言った夕夜に、
「何かあったのかな?」

華は首を傾げた。

2人はお互いの顔を見あわせると、首を縦に振ってうなずいた。

サイレンの音を追うように一緒に行くと、
「あそこだ」

夕夜が指を差したその先には、たくさんの人だかりができていた。

その近くに、救急車とパトカーが駐車していた。

「あのビルで、何かあったのかな?」

そう呟いて、夕夜は華に視線を向けた。