「夕夜」

笑顔の華が名前を呼んで、ドアから顔を出した。

「一緒に帰ろう?」

そう言った華に、
「うん、帰ろうか」

夕夜は椅子から腰をあげると、カバンを手に持った。

亮一は両手を後頭部にやると、
「全く、すっかりラブラブだな」
と、2人を冷やかすように言った。

「俺にもその幸せを分けて欲しいぜ」

冗談とは思えない亮一の言葉に、夕夜と華はプッと吹き出した。

「何だよー」

むくれたと言うように口をとがらせた亮一に、
「ごめんごめん、あまりにも真剣過ぎて」

夕夜は笑いながら言った。

「先輩にもいい人がきますよ」

亮一に向かって華がパチリとウインクをした。

「もしきたらお前らに負けないくらいラブラブするからな」

からかうように亮一が言ったので、夕夜と華は声を出して笑った。