それに対して夕夜は笑いかけると、華の頭をなでた。

「大丈夫だよ」

不安そうな顔の華をリビングに残すと、夕夜は玄関へ足を向かわせた。

ドアを開けると、綾乃が立っていた。

泣いていたのか、目がウサギのように赤かった。

「――綾乃…」

「――謝りにきたの…」

綾乃は呟いているような声で言うと、目をそらすようにうつむいた。

パタパタと音を立てながら、華が玄関にやってきた。

「三宅先輩」

綾乃の姿を見た華が驚いたように言った。

「夕夜にも、大村さんにも、謝りたいの」

そう言った綾乃を夕夜は中に入れた。

「――ごめんなさい…」

ソファーに座った綾乃が小さな声で謝った。

「こんなことをして、本当に申し訳ないって思っているわ…。

大村さんにも危険な目にあわせて…」

綾乃の目は涙で潤んでいた。