「――よかった…」

夕夜はホッとして息を吐いた。

「ユウ、立てるか?」

拓哉が手を伸ばしてきたので、
「おう、ありがとう」

夕夜はその手を受け取ると、立ちあがった。

「――先輩…」

華の目から涙がこぼれ落ちた。

「俺は、大丈夫だ…。

大村さんも、無事でよかった…」

華の頭をなでながら、夕夜が言った。

「大村ちゃん、ユウの手当てを頼むよ」

拓哉が華に視線を向けると、そう言った。

「えっ…ああ、はい」

突然のことに戸惑いながらも、華は首を縦に振ってうなずいた。

「先輩、行きましょう」

夕夜の腕を自分の肩に乗せながら、華は言った。

「ありがとう、華…」

夕夜は微笑みながらお礼を言った。