足にしがみついている手の力がゆるくなってきたその時だった。

「守衛さん、こっちです!」

どこからか声が聞こえた。

「何やってるんだ!」

「ヤベ、逃げろ!」

怒鳴り声に驚いたと言うように、それまで夕夜に絡んでいた男たちは逃げて行った。

「ユウ、大丈夫か!?」

「先輩!」

代わりに誰かが夕夜のところに駆け寄ってきた。

「――タク…」

拓哉が華と一緒に、心配そうに夕夜の顔を覗き込んでいた。

「リョウに頼まれたんだ」

拓哉が言った。

「そうか…。

大村さん、大丈夫?」

夕夜の問いに、華が首を縦に振ってうなずいた。

「ケガはないかい?」

その問いにも、華は同じように首を縦に振ってうなずいた。