TWILIGHT SLIDER

夕夜は振り返ることなく、綾乃の前を走り去って行った。

――いらない

その言葉が頭の中でリピートされた。

「――うっ…」

綾乃は地面に座り込んだ。

(――神様、私は本当に誰からも愛されてないのですか…?)

泣き顔を隠すように両手で顔をおおうと、声をあげて泣いた。


探し回った末についたところは裏庭だった。

「華!」

夕夜は叫ぶように名前を呼んだ。。

そこには、男たちに馬乗りにされながらも懸命に抵抗しようとする華がいた。

「先輩!」

華が叫んだ。

「チッ、邪魔が入ったか…」

夕夜の姿を見た男は忌々しそうに舌打ちをした。

「華を離せ!」

夕夜は1人の男の胸ぐらをつかむと、顔を1発殴った。