TWILIGHT SLIDER

「理由があるんじゃないかと思うんだ」

そう言った夕夜に、
「さっきから夕夜は何が言いたいの？」

綾乃はイラ立ちを隠すことができなくて聞いた。

「何か理由があるから大村さんは俺のことを避けているんじゃないかと思うんだ」

「彼氏さんに他の男に近づくなって言われてるんじゃないの？」

そう言った綾乃の説を、
「…そんなんじゃないと思う」

夕夜はすぐに否定をした。

「えっ？」

綾乃が聞き返した時、夕夜は走り出した。

「ちょっと、どこに行くの！？

これから講義があるんでしょ！？」

「大村さんに会ってくる」

走り出した夕夜の背中を、綾乃は見つめることしかできなかった。


（――仕方がないことだから…）

華は自分に言い聞かせた。

彼と離れるのは、綾乃と約束したことだからである。

…だけど、離れる行為はとても痛くてつらかった。