落ち着いた後、部屋に上がったら 確かに、男の私物らしき物は一つもなかった。 勘違いで怒鳴り込んだ自分が情けない… 「浩介…だっけ?戻って来ないな。」 気に食わない男だが、戻ってきたら 一応詫びの一つでもいれよう。 人の女の部屋に気安く出入りする、充分迷惑な男に 本当はそんな必要などないが。 『あぁ、気使ってるんじゃないかなぁ?』 …あたりまえだ。 最初から気を使え。 と、あの男への嫌悪感だけは、どうしても消えない自分が居た。