「しょうがねぇなぁ」 『やったぁ』 パタパタと尻尾を振って喜ぶ 上等な子犬のように ユキの目がキラキラと。 食べ物一つで こんな顔を見れるなら いくらでも作ってやるのにと 俺は呆れたように微笑みながら思った。 『え、カルボナーラって生クリーム入れるの?』 フライパンの中を まじまじと覗き込みながら ペチペチと俺の肩を叩く。 「知らなかった?」 『うん、牛乳だと思ってた。』 あはは、と俺が。 何よ、と彼女が。 そんな戯れが 俺には何より 幸福な時間だった。