彼女が帰ったのは その次の日の朝だった。 いつまで居ても構わない、そう言ったにも関わらず。 もう帰るね、 と笑って出て行った彼女に、帰る場所があるのかどうか 俺には分からない。 帰り際に またね、 と言ったその言葉だけで、これで最後ではない、という安心感があった。 だから引き止めなかった。 自分が引き止められる立場にいない事はわかっていたし、 何より、聞いても彼女は上手くはぐらかしただろうから。