ユキを、半ば無理やり車に乗せたのは そんな平行線な 沈黙と言い合いが 20分ほど続いた頃だった。 薄明るくなった道端で 放してよ、 と睨み付ける彼女。 通行人が 拉致現場にでも居合わせたような目で こちらを見ていた。 それから、俺の部屋に着くまでユキは 不機嫌そうにずっと黙ったまま 窓の外に顔を向けていた。