六年前。桜が散りはじめた頃。 私は小学五年生だった。 父親はいないけれど、明るい母と元気な弟達のおかげで寂しいなんて思うことはほとんどなくて。 喜怒哀楽のバランスが完璧な日々だった。 アイツが現れるまでは。