薬品の匂いが漂う真っ白の廊下。 清潔で、だけどどこか陰りがあるこの雰囲気は、病院独特のものだと思う。 ……それにしても。 なんで病院の廊下というものは、どこも迷路みたいな作りになっているのだろうか。 おかげで少し迷ってしまった。 いつもならば迷ったところであまり気にしないのだけれど、まだ少しだけ痛む足ではそれが意外と辛いものだ。 私は足の痛みを我慢して、すれ違う入院患者さん達に会釈をしながら。 足をかばいつつ、人の気配がするほうへと廊下を進んでいった。