ノロマなところを見られて恥ずかしくて、私の顔は熱くなっていたけれど。

小さな声でお礼を言うと、気にするな、とでも言うように虎は笑ってくれた。


「じゃあ行こか?道、教えてな」

「うん……」

熱い顔を必死に冷ましていると、握っていた手を歩きやすいように握りなおす虎。

アクセサリーで飾られた虎の手は見た目も感触も、間違いなく男の子の手だった。


いつもの私なら男の子に手を握られるなんて、すでに気分が悪くなっている。

それなのに……なんで虎は平気なんだろう?


そういえば初めて会ったときから、虎には触られても平気だったな。

よくよく考えれば初対面で胸を触られているんだから、他の男の子より警戒してもおかしくはないはずなのに。

不思議と虎には警戒心がわかない。

本当になんでなんだろう?

私は引かれるまま足を進め繋がれた手を見て、自分でも説明がつかない現象に頭をひねっていた。