ただただ、私を見つめる漆黒の瞳。 その瞳はなにかを探るような、そんな光をはらんでいた。 心臓がドキリと音を鳴らす。 なんだか……危ない。 はやく。はやくこの瞳から逃げなければ。 「お前、気持ち悪い」 なんでもいいから言葉を紡ぎだそうと、私が口を開けようとした瞬間。 私より、ほんの少しはやく。 漆黒の瞳をもつ男が、私を見ながらはっきりとそう言葉を紡いだ。 その言葉に。 さきほどの動揺なんか比ではないほどに。 心臓が、揺れた。