「で、どうだった?スンナリ入るものなの、アレって?」
「いや、それがさ〜、やり方は色々教わってたから試しに自分ひとりでやってみたんだけど〜、やっぱ初めてだったし、上手くいかなくてさ〜…。」
(………だ、だから、声が大きいって!)
桐野は、自衛隊のレンジャー部隊さえ舌を巻くほどのスピードで匍匐前進を続け、最初はゆうに20mはあった彼女たちとの距離は、すでにもう5mもない。
「結局、手伝ってもらってやっと入った、ってカンジかなぁ〜。」
「へぇ〜〜、そうなんだぁ〜。………んで、終わるまでどの位かかったの?」
「そんな、時計見てる余裕なんて無いって!……けどまぁ、大体30分ってトコかな?」
(……初めてにしてはよく保った方だな。)
桐野は彼女たちの真後ろ、大きな庭石の裏に身を潜めて、彼女たちの様子を窺っている。
「それからはさ〜、チョーシにのって色々試しちゃってさ〜。柔らかいのも、堅いのもあるし、……そうそう!色の付いてるのなんかも入れたんだ〜!」
「へぇ〜!すご〜い!」
(………い、色付き?!ま、まさか、ガイジンさんかっ?!ガイジンさんなのかっっ!?)
……彼がつい先ほど犯したあやまちの存在など、もはや100万光年ほど向こうの宇宙に置き忘れられている。今はただ、目の前のターゲットにのみ、彼の神経は集中していた。
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