悲しみと


よろこびだけを


切り取りたい





きみのスカートが翻った時、確かにぼくという世界は躍動していた


ずうっと遠い昔の出来事なのに


あの瞬間ほど感情がはじけとんだことはなかった





ぼくはやがて動きを止める


すべての感情を通過してきたからこそ、


ようやくそれを語ることができた





ぼくの中で今でも動きをもっているものは


やはりあの「ひとひら」だった





固まってしまった時間の中から


あの一瞬だけは光り輝いていて


重みのない世界を体感させてくれるんだ


熱帯夜のような


ぼくの体に