「こんにちは、岡本さん」


「……何ニヤけてんの?」



あたしは無表情。



笑顔がニヤけてるように見えるのは、あたしの目がおかしいのかな。



すっごく嬉しそう。


ただ、点滴の針を入れ直してあげただけなのに。



「あんな可愛い子の担当の方が良かったんじゃない?」


さっきの会話はまるで理想の患者と医師の会話で。

それを聞きながらあたしは、絶対こんなこと出来ないって思ってた。



あたしと高橋の会話には絶対に出てこないって言える。

「……そうですね。
あの笑顔を見たら頑張ろうって思えるね」



否定せず。

……あーハイハイ。

そうですか。



いい加減、そのニヤけた顔戻してくれないかな?


あの子も「ありがとう」ってそんな笑顔を向けるのは高橋だけだと思うけど。



今までは大して気にしてなかったけど、



対角線上のベットの子。