「お前あいつのこと好きなの?」


福原はクルッと振り返ると俺の目をジッと見て問い掛けた。


「……あいつって誰?」


福原の言葉が指す“あいつ”が誰かなんてすぐにわかる。


「亜紀」


福原ははぐらかす俺を真っすぐ見据えそう答えた。


「そんなのお前に言う必要ないから……」


「あっそ」


福原は余裕といった表情で、俺の言葉を軽く聞き流す。