「あれお前の彼氏?」


「え??違うよ!
陸くんとは幼稚園が一緒だっただけだよ?でも……」

“でも”と言った後、亜紀は何故か意味深な表情を浮かべる。


「でも?」


「……ううん!なんでもない!」


そう言うと亜紀は俺からパッと顔を背け、再び小さな紙に視線を移した。


俺との会話よりその小さな紙切れの方が大事なのかよ?


そんなくだらない事で苛々している俺は頭がおかしくなったのかもしれない。 

亜紀と出会ってからの俺は異常だ。 


心の中で自分を貶してみても、悶々とした気持ちが晴れることはなかった。