次の日何も知らされていなかった亜紀は幼稚園に行って驚いただろう。 昨日まで普段と変わらぬ様子だった俺が突然いなくなったんだから……。 俺は亜紀に“引っ越す”という言葉が言えなかった。 いや、“言えなかった”んじゃない。 “言わなかった”んだ。 亜紀には最後まで笑顔でいてほしかったから。 俺が引っ越すと知ったら、泣き虫な亜紀は絶対に泣く。 亜紀の泣き顔なんて絶対見たくない。 俺が亜紀を守ると決めたんだから。 ……でもそんなの言い訳で。 本当はすべて自分の為だった。