“お父さんの出発、来月になったから”


昨晩母さんにそう言われた。


“陸も来てくれるんでしょ?”


でも俺はまだ結論を出せずにいた。


亜紀が俺の事を好きになってくれる可能性が1%でもあるのなら、俺は日本に残りたい。


でも、望みが0%ならば……俺は父さんと母さんと一緒に海外に行く。


海外なら……遠く離れてしまえば俺は亜紀を忘れられるかもしれない。


そう思うと心の中に僅かな余裕が生まれた。