first love【完結】

「人聞きわりぃな。聞こえたんだよ」


「……そっか。あたし本当に一人で運べるから。それ貸して?」


手を差し出して一生が持っているプリントの束を受け取ろうと催促する。


「だからいいって。俺も生物室に行く予定あるし」


一生はそう言うと廊下をスタスタ歩きだした。


「ちょっと待ってよ……!」


あたしは一生の大きな背中を追いかけた。


歩幅の小さいあたしを気遣っているようにゆっくりと歩く一生。


一人の時は物凄いスピードで歩くのに。


そんな一生の優しさが今のあたしには痛かった。