「亜紀……」


顔を上げると少し俯いている亜紀の顔が目に入った。

「チョット話があるから……ついて来てくれる?」


「あぁ」


俺は小さく頷くと亜紀の小さな後姿を追いかけた。


同じ教室にいても物凄く遠かった亜紀との距離。


でも、今は手を伸ばせば亜紀に触れられる距離。


それなのに俺は亜紀に触れる事が出来なかった。