「……福原には悪いけど、俺やっぱり亜紀の事諦めないから。俺なら絶対に亜紀を悲しませたりしない」


市橋は亜紀の走り去った方向へ俺に背を向け歩きだす。


「……くそっ!!」


俺は溢れだす気持ちを拳に託した。


地面を何度叩いても、気持ちが晴れるわけでもない。

亜紀が戻ってくるはずもない。


わかってる。


わかっているけど、この時の俺はこうすることしかできなかった。


「一生、振られちゃったね〜!」


隣でケラケラと笑う亜梨紗のうっとおしい声を聞きながら、俺は拳をギュッと握った……――