「は?何で俺が?」


「陸もまだ高校生でしょ?男の子とはいえ、息子一人日本に置いて海外で生活なんて出来ないわ」


……またか? 


また俺と亜紀を引き離すのか? 


また10年前のようになるのか? 


「……ふざけんなよ」


「え?」


「ふざけんなっていってんだよ!俺の気持ちがわかるか?!この十年間、俺がどんだけ耐えたのか知ってんのかよ!」


「……陸……」


母さんはそのまま俯き、黙り込んだ。


それを見て俺は行き場のない気持ちを近くに置いてあったゴミ箱に向けた。 


おもいっきり蹴飛ばすと、中に入っていたゴミが散乱した。 


神様は残酷だ。 


自分ではどうしようもない無理難題を押しつけられて一体俺はどうすればいいんだよ。 


俺はハァと深く溜め息を吐くと、その場に力なく座り込んだ………――――