「綺麗になんてなってないですよ!」


お世辞と分かりながらも、少しだけ気分が良くなる。 

「本当久しぶりよね」


「そうですね。でも十年ぶりって感じしないなぁ」


ドラッグストアの前であたしと陸くんママは昔話に華を咲かせた。



「あ、そうそう。今から陸の家に行くんだけど亜紀ちゃんもどう?」


暫く立ち話をすると陸くんママが、突然そう切り出した。 


陸くんとはあのキス以来目も合わせていない。 


一生と付き合い始めたという負い目からなのか、無理やりキスされた怒りからなのかは自分でも分からない。


でも一ついえることは、陸くんの事を嫌いになってはいないということ。 


無理やりキスをされても、抱き締められても…… 


どうしてもあたしは陸くんの事を嫌いにはなれないんだ。