「やっぱり来てくれないか……」


再び時間を確認しようとした瞬間、


「バカ。いつまで待ってんだよ」


暗闇の中から聞き覚えのある声がした。 


声のしたほうを見ると、腕を組んだ一生が立っていた。 


「一生……来てくれたんだ?」


絶対に来てくれると思ってたよ。 


思わず安堵から表情が綻ぶ。


「勘違いすんなよ。たまたま通りかかったから寄ってみただけ」


「そっか……」


フッと笑ったあたしを見て一生は怪訝そうな顔をした。 


たまたま通りかかったなんて嘘。 


だってあたしは今、体育館の入り口にいるんだから。 

この場所は外から死角になっていて見えないはず。 


一生はあたしの探してわざわざここまできてくれたんだね?