「しょうがねぇな」


一生がポツリと呟いた瞬間、体がフワッと軽くなり宙に浮いた。 


「え……?」


今何がおきているのか分からず混乱する。 


「俺に掴まってろ。絶対離すんじゃねぇぞ?」  


「うん……」


一生はそう言うと、あたしを抱え勢い良く走りだした。 


その瞬間、キャーという女子生徒の悲鳴が飛びかう。


「……っ。一生下ろして!あたし自分で走れるから!」


歓声と共に女子生徒達の冷たい視線に居心地の悪さを感じる。 


「黙ってろ」


一生はあたしの言葉を無視し、ひたすらゴールに向かって走った。