「バーカ」


目の前でうな垂れている亜紀をチラッと見る。


“借り物競走”なのに俺を連れていったらダメだろ。


案の定亜紀は失格になり、クラス中から大ブーイングを受けた。



「ホントに……ごめんね?」


亜紀は申し訳なさそうにペコっと頭を下げクラスメイトに謝った。



そして、


「一生も急かしてごめんね?」


亜紀は涙目で俺に謝った。 
 


……そんな顔されたら理性ぶっ飛ぶから。 


亜紀を抱き締めたい衝動に駆られる。



でもそれを振り払うかのように、


「別に」


俺は素っ気なく返し亜紀に背を向けた。