「そろそろ出ようか」









いつの間にか外は夕焼けで赤くなっていた。










「うん、じゃあそろそろ…」










立ち上がって出口に向かう。鞄から財布を出そうとする私の手を翔の手が押さえた。











「いって、俺んちだから」









「でも……、あんなにいいものご馳走になったのに……」










「その言葉だけで十分だよ」










いいから、と背中を押され、店から出た。







「わッ………」









そこには雲が夕焼けに染まって、今にも沈みそうな、まるで絵のような景色があった。その美しさに息をのむ。