「木下ぁ、お前、
結婚はまだなのか?」
誰かが口を開いた。
それをキッカケに
「真由さん…だっけ?
年上の彼女。
彼女とはどうなったんだよ?」
「そのうち真由さん
こっちに呼ぶのか?」
矢継ぎ早に質問が飛ぶ。
「真由とは…別れた。」
「うそっ!?マジで?
俺はてっきり真由さんと
結婚すると思ってたよ!」
…だろうな。
俺もそう思う。
あのまま付き合い続けていれば、
きっと真由はこっちについて来てただろう。
たぶん…そのまま結婚してたのかもしれない。
俺が別れを切り出さなければ。
真由ももう30代も半ばで、
いい加減結婚したがってたし。
俺もそろそろ
身を固めろって周りから言われてたし…。
結婚なんてこんなもんかなんて
醒めた気持ちで一緒になってたかも。
でも俺は
そんなのイヤだったんだ。
30にもなって
まだそんな夢見てんのかって言われそうだけど、
俺は、心底惚れた女と
妥協や打算じゃなく結婚したかったんだ。
真由には悪いが、
俺にとって真由は
そこまで深く想える相手じゃなかったんだ…。



