きっちり一時間後、
俺達は新町の外れのホテルにいた。



シャワーを浴びたあすかは、体にバスタオルを巻いただけの姿で、ベッドの上にちょこんと座っていた。



こうしてると、ホントに女王様に見えないな。



俺はあすかに近付き、髪を撫でた。

両手で頬を包む。


あすかは潤んだ瞳で俺を見つめ返してくる。


俺はあすかにキスをした。


そして
耳に、首に…胸元に唇を這わす。


あすかの吐息が
甘く湿り気を帯びてくる。


そのままゆっくりと
あすかをベッドに横たえる。


「ホントに…いいの?」


「イヤだったら
ホテルに入る時点でとっくに逃げ帰ってる。」



(他の客とも、こんなことしてるの?)


言い掛けてやめた言葉を
まるで分かっていたようにあすかは言う。


「木下さん…」


「光基でいいよ。」


「光基…?
 あたし、お店のお客さんと外で会うなんて、今までなかったんだよ。
 光基…貴方が最初で最後なの。
 貴方にずっと会いたかったの」



「…あすか。」


「…イヤ!!」



…?!

この期に及んで
俺は拒否されるのか?