栞は、その開け放った窓にふらふらと近寄ったかと思うと、声をあげて泣き始めた。



「ふぇ…うぇぇぇーーん!!えぇぇーーん!!おうち帰るぅぅぅっ!おうち帰りたいよぉぉっ!!えぇぇーん!あたし、おうち帰るぅっ!!」


いつもの栞とは全く違う泣き方。

まるで小さな子供のようにしゃくり上げ、泣きじゃくる。


記憶を無くしたと同時に、意識も退行してしまったの…か?


俺は、泣きじゃくる栞をただただなだめるしか、できなかった。