半信半疑のまま、俺はとりあえず栞を安心させる方法を考えた。


そして。



「俺は、木下光基っていうんだ。…よろし…く…」


なんて間抜けな…。

よく知ってる相手、自分の彼女に自己紹介なんて。



「それから…キミは…栞。藤井栞って名前」



俺は栞に、栞と俺が恋人同士だという事、ここで一緒に暮らしている事なんかを簡単に説明した。


栞はそれを不思議そうに聞いている。



こんな時って、どうして意味の無い事をしたがるんだろう。


どうする事もできなくて、俺は窓を開け、部屋に外の空気を入れた。