「転んだらいけない」

「大丈夫だよ?」

「前に転びそうになったのは誰だったかな?」

「………はい、」


苦笑して麻理亜は、俺の手をとった。右に壱斗、左に麻理亜。間に挟まれてる俺。


どちらも温かい。


たどたどしく歩く壱斗を見守りながら、二人は歩く。ゆっくりした速度で。


「敬夜さん、頬緩みっぱなし」

「そうか?」


クスクスと麻理亜が笑う。


「うん、本当に子供好きなんだね」

「そうだな。俺達の子供だし」


やっぱり人一倍可愛いと思う。小さい体で一生懸命歩いて、いつか成長して飛び立つまで溢れるばかりの愛情をそそいでやりたい。


「来年になったら、どうしよう」

「?」


冗談混じりに言う麻理亜に首を傾ける。
麻理亜は、自分のお腹を撫でながら、だって、と言う。