甘い蜜




「………親父…母さん……」

「麻理亜ちゃん…」


母さんは涙を浮かべながらベッドの傍らに立つ。
親父はその後ろに立った。


「まさか……麻理亜ちゃんが……」

「一体、何があったんだ……?」


二人は、まだ知らない。否俺以外はまだ。あの時は麻理亜を優先すべきことであったから。


「………親父、」

「何だ」


俺は麻理亜から目を離さない。今にも目を開けそうだけれど、開かない。
湧き上がるのは、真理子さんへの怒り―――憎しみ。


「………麻生グループを潰す」


ゆっくりと俺の中に火が灯っていく。それはどんどん燃え上がり、体全身を包むかのようだ。